ワイキャンス(一般名:カンタリジン)(水いぼ(伝染性軟属腫)の外用薬)

水いぼ(伝染性軟属腫)とは

水いぼ(伝染性軟属腫)は、伝染性軟属腫ウイルスの感染によって生じる皮膚の感染症で、感染してから症状が出るまで14~50日といわれています。
主に乳幼児から学童期のお子さまに多くみられます。皮膚に白~肌色の小さなブツブツができ、かゆみを伴うこともあります。できやすい部位としては、体幹・手足・顔などが挙げられます。掻いたり潰したりすることで内容物が飛び散り、周囲の皮膚に付着したり、内容物に触れた手で別の部位を触ったりすることで感染が広がります。
また、直接肌が触れ合ったり、タオルやプールで使用するビート板・浮き輪などを共用したりすることでも感染することがあります。

さらに、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のある方は、特にウイルス感染を起こしやすくなっています。そのため、日頃からのスキンケアや適切な治療を行っておくことが大切です。

主な治療法としては、ピンセットなどを用いて摘出する方法と、このたび新しく発売されたワイキャンス(一般名:カンタリジン)による治療があります。
また、小児では数か月から1~2年で自然治癒することも多いため、経過観察を行い、自然治癒を待つという選択肢もあります。

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ワイキャンス(一般名:カンタリジン)とは

ワイキャンスは、水いぼ(伝染性軟属腫)の治療に用いられる外用薬で、有効成分は「カンタリジン(Cantharidin)」です。
カンタリジンは、古くから海外(特に欧米)で小児の水いぼ治療に使用されてきた成分で、
痛みを抑えながら、水いぼだけを自然に取り除く」ことを目的とした保険治療薬です。

作用メカニズムと経過

① 表皮のみに選択的に作用
カンタリジンは、皮膚の浅い層(表皮)に作用する薬剤です。そのため、皮膚の深い部分まで傷つけることはありません。

② 水いぼ部分に一時的な「水疱(みずぶくれ)」を形成
塗布後、数時間〜24時間以内に水いぼの部分に小さな水疱(みずぶくれ)が形成されます。
これは、ウイルスに感染した細胞の結合をゆるめ、これらの細胞を皮膚表面から浮かせるために起こる治療に必要な反応です。

③ ウイルス感染細胞が自然に排出
水疱が乾燥し、かさぶたになることで水いぼの原因ウイルスを含む細胞が剥離されます。
ピンセットで無理に取る必要がなく、 治療時の痛みがほとんど出ないのが大きな特徴です。

なぜ「痛みが少ない」のか?

従来の摘除治療では、皮膚を直接つまんで取り除くため強い痛みを伴います。
一方ワイキャンスは、治療時に皮膚を傷つけなく、神経が集中する真皮まで到達しないため塗布時の痛みはほぼありません
※水疱形成後に軽いヒリヒリ感や違和感が出ることはあります。

ワイキャンス治療の注意点

● すべての水いぼに適応できるわけではありません
炎症が強い水いぼ、とびひ(伝染性膿痂疹)を合併している部位、皮膚が非常に弱い部位(顔・陰部など)の場合は、慎重な判断が必要です。
そのため診察のうえ、最適な治療法をご提案します。

● 医療機関内での塗布が必須
カンタリジンは、適切な量・範囲の調整が必要なため、必ず医療機関にて、水いぼ部分のみに塗布します。( *自宅での自己使用はできません。)

ワイキャンスを塗った後の注意
16〜24時間後に石鹸を用いて水で洗い流してください。
*塗ったお薬を洗い流すまでは、
・シャワーや入浴などのお薬が洗い流されてしまう行為は避けてください。
・塗ったところに触れたり、舐めたり、噛んだりしないでください。
・塗ったところにクリームやローションなどを塗らないでください。

● 水疱は「異常」ではありません
治療中にできる水疱は、薬が効いているサインであり、異常ではありません。
ただし、無理に水疱をつぶしたり、強くこするってしまうと、色素沈着がや感染の原因になるため注意が必要です。

● 副作用について
以下のような反応が起こることがあります。
塗布部位の赤み、腫れ、水疱(水ぶくれ)、軽い痛みやかゆみ、一時的な色素沈着(多くは自然に改善)
もし、これらの症状が強い場合は速やかに医師へご相談ください。
また、必要に応じて16〜24時間を待たずに石鹸を用いて水で洗い流していただきます。

ワイキャンス治療の用法及び用量 

通常、成人及び2歳以上の小児に、3週間に1回、患部に適量を塗布して下さい。塗布16~24時間後に、石鹸を用いて水で洗い流してください。

ワイキャンス療法がおすすめの方

・水いぼの数が多い方
・以前の摘除治療がつらかった経験がある方
・痛みに弱く、治療を怖がってしまう方
・できるだけ精神的負担を減らしたい方

よくあるご質問

何歳から治療できますか

2歳以上が保険適用の対象です。

ワイキャンスは本当に痛くないのですか?

治療時(塗布時)の痛みはほとんどありません。ただし、数時間〜翌日に水疱ができた後、軽いヒリヒリ感や違和感を訴えることがありますが、多くは自然に落ち着きます。

水疱(みずぶくれ)ができて心配です。大丈夫でしょうか?

ワイキャンスによる水疱は、薬が効いて水いぼが治っていく過程で起こる正常な反応です。
無理につぶさず、清潔を保ってください。

自然に治るのを待つのはダメですか?

水いぼは自然治癒することもありますが、数が増える・かゆみで掻き壊す・周囲にうつる・ことも少なくありません。そのため、症状や生活環境に応じて治療を選択することが大切です。

お薬を塗ったところを触らないようにするためには、どうしたらいいでしょうか?

必要に応じて幹部をネット包帯やガーゼなどで覆ってください。ただし、密封性の高い素材は避けてください。

治療後にシャワーを浴びたいのですが、どうしたら良いですか?

患部のお薬が洗い流されないように防水絆創膏などを貼って、シャワーを浴びてください。

水疱(水ぶくれ)が破れてしまいました。どうしたら良いですか?

患部を水で洗い流して、清潔を保つようにしてください。必要に応じて医師に相談してください。

治療後に跡は残りませんか?

多くの場合、跡を残さず治癒します。ただし、強くこする・無理やり水疱をつぶす・細菌感染が生じるなどで、一時的な色素沈着が残ることがあります。

この記事を書いた人

宗大先生

つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック副院長
流山鶴町皮膚科・小児科クリニック 皮膚科担当医師
鶴町 宗大 医師
◆皮膚科専門医 ◆レーザー専門医 ◆医学博士